行政も動く!出資法人の見直しへ!
2007年9月4日

非営利法人総合研究所(NPO総研)
主席研究員 福島 達也

 

行政の出資法人・外郭団体にとっても今回の公益法人制度改革は、大変大きな問題となっている。
行政から委託されたり、補助金を受取っている団体が、万が一公益性を否定されて一般法人に成り下がったら、それこそ市民からの苦情が殺到するに違いない。委託事業や補助金をカットされることに等しいダメージが法人にもたらされることになる。

そうしたことから、行政側も今回の制度改革を見据えて、出資法人や外郭団体のあり方を検討しているのだが、大阪府は先日、出資などにより府と関係の深い46法人のうち、なんと11法人について、廃止や統合などを決めたのだ。
これは、今後の公益法人制度改革や民意の高まりを予想したものといえる。
気になるその判断基準だが、まずは時代の流れとともに必要性がなくなってきているようだ法人かどうかだ。次に、民間が実施している類似事業があり、公益法人が行う意味を失っているような法人。さらに、行政の負担となることから経営状況の芳しくない法人などなど。
結局、廃止は1法人。統合は2法人。出資や派遣職員を引き上げたり株式を譲渡したりして自立や民営化をさせるのが8法人だ。残る35法人は存続の方針だが、一部は事業や組織を見直してスリム化を図ることになっている。
このように、財政難に陥っている自治体は、補助金や出資金をカットする狙いに加え、公的施設の管理を委ねる指定管理者制度の導入などで「官から民へ」の流れを強めているのだ。
財政難は大阪府だけではない。一部の自治体を除いてほとんどすべての自治体は、少子高齢化の影響などにより今後さらに財政難に陥ると予想されている。
こうしたことから、公益法人制度の改革期とあわせて、今までの出資法人のあり方をもう一度見直そうという動きが今後急増するであろう。まさに外郭団体受難の時代だ。
派遣されている自治体の職員は、自治体に戻ればいいのだが、プロパーの職員にとってはまさに職場を失う危機ともなっている。
指定管理者制度や市場化テスト、さらには整理統合の動きと、次から次へと難題の波が押し寄せている現状の中で、自分たちの役割やミッション達成などの意識が薄れているような気がする。
外郭団体の職員には、是非とも公益の増進にどうしたらもっと寄与することができるのか、そのためには何をすべきなのか、どのような組織が望ましいのか・・・・今までの常識にとらわれないで、新しい発想を持ってトライして欲しい。




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